「墓参りのたびに胸痛む」 宇茂佐墓園に放置車両 市へ要請もめど立たず 名護


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両親の墓の前に放置された自動車の撤去を訴える上間正博さん=3月25日、名護市宇茂佐の森(一部画像を処理しています)

 【名護】名護市宇茂佐の森で市が管理する「宇茂佐墓園」で少なくとも7年間放置されている自動車があり、問題になっている。清明祭など行事ごとに墓園を訪れる浦添市の上間正博さん(70)は「何度も名護市にお願いしたがまだ撤去されていない。墓参りのたびに両親に申し訳ない気持ちになる」と改善を訴えている。

 上間さんによると、墓園内にある上間家の墓の出入り口付近に、約15年前から白いミニバンを見掛けるようになった。最初は30~40代の男性が寝泊まりしている様子だった。しばらくすると車両だけ放置され、徐々にごみなどが車内や周辺に集積された。

 市管理地のため当初は様子を見ていたという上間さんだったが、一向に改善されないことから、2年ほど前から市に対し、口頭や手紙などで複数回にわたって自動車の撤去を求めてきた。

 市によると、墓園は市有地のため、放置自動車に対しては道路交通法ではなく「市放置自動車の発生の防止および適正な処理に関する条例」に基づき対応している。

 条例は「所有者などに対し、当該放置自動車を撤去するよう命令することができる」と定めている。市は上間さんの要請を受け、昨年6月に車両番号から判明した所有者に撤去命令を通知したが音沙汰がなかった。そのため今年3月末に所有者宅を訪ねて撤去を求めたが、親族が使用していため詳細を把握していないと答えたという。

 市の規則は撤去命令から6カ月を過ぎても自動車を撤去しない場合、市が撤去し、処分費用などを所有者から徴収することがあること定めている。所有者が車両を放置し続けた場合、市は5月末までに墓園から撤去する方針だが「撤去費用を徴収できるかは不明だ」としている。

 上間さんは「働き詰めだった両親にゆっくりしてもらおうとお墓を買い求めたが、放置自動車やその周辺のごみで気が休まらないのではと思うと胸が痛む。市はもっと迅速に対応してほしい」と語気を強めた。(松堂秀樹)


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