「戦没者の思い、故郷へ」 高校1年生、発見した沖縄戦遺品の持ち主探す


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 那覇市内に住む高校1年生、宮城孝和(こうわ)さん(15)が、沖縄戦に従軍した日本兵の水筒を糸満市の大度海岸で発見し、持ち主を探している。水筒には「鈴木良一」と書かれており、三重県津市出身と判明した。「大竹知子」と書かれた筆箱と「森田」と書かれた飯ごうも発見したが、手掛かりはつかめていない。

宮城孝和さん(提供)

 宮城さんはミリタリー系のプラモデル製作が趣味。趣味が高じて県内の戦跡を巡るようになった。昨年、大度海岸を散策中に、崩落した岩の隙間に「鈴木良一」さんの水筒を発見。土に埋まった壕の中で筆箱や飯ごうなどを見つけた。

 遺骨収集活動に取り組む「沖縄蟻の会」の南埜安男さんの協力を得て、水筒は津市出身の鈴木さんのものと突き止めた。津市役所に連絡し、遺族会などを通じて鈴木さんの遺族を探してもらっているが、市外に引っ越した可能性もあり、遺族の特定には至っていない。

 「大竹知子」と書かれた筆箱と「森田」と書かれた飯ごうは、詳細が分からず手詰まりの状態だ。宮城さんは「戦後77年もの間、人目に付かず忘れさられようとしていた遺品、遺骨を残す戦没者の願望を思うと、故郷の土、空気に触れられように努めることがせめてもの供養になると思う」と話した。

(稲福政俊)

内側に「大竹知子」と書かれた筆箱(宮城孝和さん提供)
「鈴木良一」と書かれた水筒(宮城孝和さん提供)

【関連記事】

▼沖縄戦当時の自然壕(ガマ)でくし ガマフヤー具志堅氏が発見、遺族探す 糸満市伊敷

▼持ち主探してます…元米軍の祖父が沖縄から持ち帰った優勝旗 「美里村農會」の文字

▼県外出身の「平和の礎」刻銘漏れ400人 県に調査・働き掛け訴え

▼まんがで伝える沖縄戦

▼沖縄戦の遺骨、法医学の知識で調査 学会、ガマフヤーに協力