沖縄戦の戦没者とみられる遺骨が見つかっている糸満市伊敷の自然壕(ガマ)で、新たにくしが見つかった。くしには「山〓」と刻まれている。遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表は「屋号ではないか」と話す。「同じガマの中で見つかった遺骨のDNA鑑定につなげたい」と、くしの持ち主の遺族を探している。
くしは具志堅さんらが約3週間前に見つけた。具志堅さんは「沖縄戦当時、避難していた女性が使用していたのではないか」と話す。
伊敷のガマの中ではジーファー(かんざし)や複数の歯、子どもや成人女性とみられる遺骨が見つかっている。
具志堅さんによると、歯の一つは発育程度から8~9歳のものとみられる。生え替わる前に歯茎の中に埋まっていたとみられる永久歯も見つかった。手りゅう弾の一部も近くにあったため、爆発の衝撃であごの骨が砕けて出てきたとみられる。
具志堅さんは「厚生労働省のDNA鑑定で、住民の遺骨の身元が判明したケースはまだない。ガマで見つかった遺骨と、くしの持ち主の遺族をDNA鑑定すれば、遺骨が遺族の元に帰ることができるかもしれない」と話し、心当たりのある人は連絡がほしいと呼び掛けた。
問い合わせ先は具志堅さん(電話)090(3796)3132。
同じガマの手前側では、日本軍の軍服のボタンや複数の遺骨も見つかっており、軍民混在の状況だったとみられている。
(中村万里子)
※「山=」(=部分は「口」の下の線が欠けた状態」)
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