復帰50年の国会決議案から地位協定見直しを削除 一部野党は反対へ


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 【東京】沖縄の日本復帰50年についての衆議院沖縄北方対策特別委員会(阿部知子委員長)での決議で、決議文から日米地位協定の改定や見直しについての文言を削除する方向で与野党が最終調整していることが20日、分かった。与野党は21日の衆院沖北委で全会一致での可決を目指しているが、地位協定に関する文言削除で野党の一部が決議に反対する見込み。衆院本会議での決議でも、同協定についての記述は盛り込まれない見通しだ。

 関係者によると、与野党が水面下で合意した21日の沖北委で示される決議では、在沖米軍基地の問題について、「米軍基地から派生する諸問題の解決のため、事態の抜本的な改善に取り組むべき」とし、米軍基地の負担軽減については、「整理縮小及び早期返還の実現に努める」とした。

 在沖米軍基地内でのクラスター(感染者集団)の発生が明らかになるなど米軍の新型コロナウイルス対策への批判が集まった点を踏まえ、「在日米軍に対し感染拡大防止措置の徹底」も求めた。

 一方で、日本国内に滞在する米軍人・軍属の事件や事故が起きた際、その在り方について「不平等」などの指摘が上がる日米地位協定の見直しや改正には踏み込まなかった。同協定については、野党側が作成した素案には記述があったが、与党側が反発し、最終案で文言は削除された。

 与野党の大半は最終案の内容で合意したが、共産党は同協定への記述の有無をめぐって内容に反発。与野党が、全会一致での採決を目指していた21日の沖北委の採決で同党は反対の立場を取る見込みだ。

 沖縄の日本復帰をめぐる過去の決議は、沖縄返還前の1971年11月の「非核兵器ならびに沖縄米軍基地縮小に関する決議」、復帰25年に当たる97年4月の「沖縄における基地問題ならびに地域振興に関する決議」があったが、いずれも賛成多数での可決だった。(安里洋輔)


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