沖縄の日本復帰50年国会決議へ 「万国津梁」など文言盛り込む 与野党が調整進める


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 【東京】沖縄の日本復帰50年についての決議を国会で行う方向で与野党が調整していることが12日、分かった。21日以降に開かれる衆院本会議で決議する見込みだ。自民党など与党が決議案を準備しており、「万国津梁」「強い沖縄経済」「平和創造拠点」などの文言を盛り込む方向で調整している。13日には、衆院沖縄北方対策特別委員会(阿部知子委員長)の理事会が開かれ、共産党や立憲民主党などの野党も決議案を示す。与野党による協議を経て、21日に開かれる見込みの同委員会での質疑を経て決議を目指す。

>>50年前きょうの1面は?

 国会での沖縄に関する決議は過去に、沖縄返還協定を審議していた1971年11月の「非核兵器ならびに沖縄米軍基地縮小に関する決議」、復帰25年に当たる97年4月の「沖縄における基地問題ならびに地域振興に関する決議」があり、四半世紀ぶりとなる。

 関係者によると、自民党が衆院本会議での決議を目指す決議案には、海洋国家として栄えた琉球王朝時代の鐘に刻まれた碑文に由来する「万国津梁」、岸田文雄首相が政府方針に掲げる「強い沖縄経済」、沖縄戦の経験を踏まえた「平和創造拠点」などの文言を盛り込む見込みだという。13日の衆院沖北委理事会では、 「沖縄の本土復帰50年及び沖縄問題の解決促進に関する件」として、野党が取りまとめた決議案が示される。

 野党案では5次にわたる沖縄振興の効果について、「総体としては発展」とする一方で、「子どもの貧困」「労働生産性の低さ」などの課題も挙げた。「米軍専用施設面積の70・3%が集中している」などと沖縄の基地負担について指摘し、政府には在沖米軍基地の整理縮小や早期返還に努めるよう求めた。

 新型コロナウイルスの感染拡大で明らかになった在日米軍の感染対策の不備も指摘し日米地位協定の見直し検討を求めたほか、同協定から派生する問題について「事態の抜本的改善に取り組むべき」とした。新たな沖縄振興については「地元の意思を十分尊重して総合的・積極的に推進」することを求めた。(安里洋輔)


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