県内の書店員が今いちばん読んでほしい本を選ぶ「沖縄書店大賞」(主催・同実行委員会)の第8回受賞作が4月30日に発表された。大賞を受賞したのは、沖縄部門は下瀬環さんの「沖縄さかな図鑑」、小説部門は逢坂冬馬さんの「同志少女よ、敵を撃て」、絵本部門は柴田ケイコさんの「パンどろぼうvsにせパンどろぼう」。「沖縄さかな図鑑」は沖縄タイムス社刊行で、県内出版社刊行作の受賞は2015年の第1回以来。
21年刊行作を対象に各部門の候補5作から1~3位を投票する形で行われ、県内15書店の書店員79人が参加した。沖縄部門大賞「沖縄―」は734種の学術的な記載に漁法や呼び方、食べ方も網羅。「自分が『欲しい』図鑑を作った」という下瀬さんは取材時の漁業者や仲買業者、鮮魚店員らの協力に感謝した。
小説部門大賞「同志―」は独ソ戦での女性狙撃兵を描いた、逢坂さんのデビュー作。逢坂さんは二十数年前、修学旅行で沖縄を初めて訪れた際、実弾射撃訓練で上がる音に驚き、煙を目撃した体験を振り返り「衝撃的だった。戦争の惨禍は戦後も続く。終わらない戦後、終わらせないといけない戦後を感じた」という。「いつか沖縄を題材に書いてみたい」と語った。
【沖縄部門】準大賞・「アゲアゲめし公式ガイドブック」(ぴあ)▽優秀賞・「つながる沖縄近現代史」(編集・監修=前田勇樹・古波蔵契・秋山道宏)、「沖縄島料理 食と暮らしの記録と記憶」(監修・写真=岡本尚文、文=たまきまさみ)【小説部門】準大賞・「硝子の塔の殺人」(知念実希人)【絵本部門】準大賞・「あんなにあんなに」(ヨシタケシンスケ) (安里周悟)
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