【中部】日本復帰前の沖縄で、1964年8月から66年10月まで統治責任者だったワトソン高等弁務官(米陸軍中将)が、退任後に米軍が実施したインタビュー(口述記録)で、沖縄に核兵器を「貯蔵していた」と明言していることが分かった。
復帰前の沖縄で米軍が核兵器を貯蔵していたことは「公然の秘密」とされてきたが、米軍は核兵器の所在について「否定も肯定もしない」という基本政策があり、歴代高等弁務官も「ノーコメント」としてきた。研究者は「米軍高官が核兵器の貯蔵を明言しているのは非常に珍しい」(我部政明琉球大名誉教授)としている。
口述記録は復帰から約3年後の75年4月に米軍が実施した。米陸軍遺産教育センターが所蔵する記録を琉球新報が入手した。
ワトソン氏は返還前の在沖基地について「他のどの権力の承認も得ずに運用できた。そこで貯蔵している核兵器を非常に巧妙で静かに、目立たずに、そして決して認めることなく扱っていたが、(存在は)知られていた。核を持ち込む際に日本政府の意向を確認する必要もなかった」と振り返った。
一方、沖縄返還に伴う影響について「もし(返還後の)現在、その許可を求めるとすれば、とても長く、もしかするとうまくいかない議論を重ねるだろう」と懸念した。
(島袋良太)
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