15日の「沖縄復帰50周年記念式典」であいさつしたエマニュエル駐日米大使はロシアのウクライナ侵攻に関し、「沖縄県民は、日本で最も声高にウクライナの人々のために立ち上がりロシアの戦争を非難している」などと述べ、日米同盟と地域の防衛のため、県民の貢献を求めた。この発言に関し、沖縄戦研究者の石原昌家沖縄国際大名誉教授は「沖縄戦を体験した県民の心にあるのは命どぅ宝、非武装の思いだ。アメリカは、自分たちの軍拡に沖縄を引きずり込もうと話をすり替えている」と指摘した。
エマニュエル大使は式典で、ロシアの軍事侵攻に触れ、「世界は覇権国家の脅威に直面している」と述べ、代償を払って自由を守り、推進すべきだと強調した。
発言に関し、石原氏は、ベトナム戦争やイラク戦争などに伴う訓練激化や被害に翻弄(ほんろう)されてきた沖縄の戦後史に触れ、「アメリカの戦争に巻き込まれてきたのが沖縄だ。沖縄は、今のロシアがしていることを米軍に見てきた」と指摘した。
1945年の沖縄戦では、沖縄に米軍が上陸し、日米両軍の戦闘で約9万4千人の民間人が犠牲になった。
石原氏は「ロシアと同じようなことをしたのがアメリカだ。戦後も沖縄は占領で自由を奪われた」と述べ、大使の発言は、戦争や戦後の体験を踏まえた県民の思いとは相いれないと強調した。
(中村万里子)
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