絶滅が危惧される国指定天然記念物「ケナガネズミ」の交通事故死(ロードキル)が2022年に入って急増している。環境省やんばる自然保護官事務所が確認した事故は5月18日現在で10件で、10匹が死んだ。繁殖で活動的となる21年10月からも含めると17件で17匹が死んでいる。
同事務所は「スピードを抑え、仮に事故を起こしても、すぐに通報してくれれば救える可能性はある」とドライバーにロードキル防止を訴える。
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ケナガネズミは日本最大のネズミで、成獣は体長20~30センチ、尾長25~35センチとなる。尾先が白いのが特徴。夜行性で、世界自然遺産登録地の沖縄島北部と鹿児島県奄美大島・徳之島だけにしか生息していない1属1種の希少固有種だ。
自然保護官事務所が公開するロードキル情報によると、11~21年の事故確認件数は92件(死亡90匹・負傷2匹)。
最も多かった11年25件(死亡24匹・負傷1匹)以降、15件を超える年はなかった。
発生場所は生息域の森林を東西に横断する県道2号が最も多く70件で、70%近くを占める。
事故急増を受けて、環境省と県、国頭、大宜味、東の3村でつくる「やんばる自然体験活動協議会」はケナガネズミのロードキル防止を訴えるマグネット・ステッカーを作成した。1枚400円で、ロードキル防止を含む自然保護活動などの資金に充てる。
事故の通報・救護の連絡は、環境省やんばる野生生物保護センター(電話)0980(50)1025(午前8時30分~午後5時15分)か(電話)090(6862)9170(24時間)、NPO法人どうぶつたちの病院沖縄(電話)090(6857)8917(24時間)。
(安里周悟)
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