米環境保護庁(EPA)は15日、有機フッ素化合物(PFAS)の一種であるPFOSとPFOAについて、飲料水として生涯摂取し続けていい濃度を表す「生涯健康勧告値」を引き下げた。これまで合計1リットル当たり70ナノグラム以下だったが、毒性をより重く捉えPFOSを同0・02以下、PFOAを同0・004以下とした。合算しても2916倍厳しい値だ。
EPAは研究データと分析に基づいて「以前よりも、はるかに低い値で健康に悪影響を及ぼす可能性が判明した」と説明している。
厚生労働省は2020年に飲料水、環境省は河川など環境中の暫定指針値を定めた。日本の平均体重から、米国より厳しい50ナノグラムに設定した。今回のEPAの変更を受け、日本政府が指針値を変えなければ整合性が問われる。
沖縄県内では米軍基地周辺の水源で高濃度のPFASが検出されているが、県は基地周辺の取水を減らすなどし、指針値以下になるようにしている。ただ、PFOSとPFOAの合計は21年度平均12ナノグラム、22年度は4月までで平均4ナノグラム。最新EPA勧告値を超える。
調査団体インフォームド・パブリック・プロジェクトの河村雅美代表は「PFOSとPFOAの危険性を米政府が認めた。日本政府も参考にせざるを得ないはずだ。政府や自治体は市民の安全のために緊急に措置する必要がある。基地に関する米軍交渉にも戦略的にこの数字を使うべきだ」と指摘した。
厚労省担当者は取材に「評価が新しくなれば必要に応じて見直すのが一般的だ。情報を集めて検討する」と語った。環境省担当者は「情報収集し必要があれば見直す」と述べた。 (明真南斗)
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