人体に有害とされる有機フッ素化合物(PFAS)の水道水に関する生涯健康勧告値を米環境保護庁(EPA)が大きく引き下げた。従来の1リットル当たりPFOS・PFOA合計70ナノグラムが、PFOSは0.02ナノグラム以下、PFOAで0.004ナノグラム以下と身体への影響を“桁違い”に厳しく評価し直した。関係者も驚く引き下げだ。水道水を供給する県はクリアするための技術的な問題に強い不安を示した。住民からは厳格化を歓迎するとともに、国と県、市町村に強い対応を求める声が上がった。
米PFAS勧告値の引き下げについて、県の関係部局は情報収集に追われた。引き下げで県企業局が不安を示すのは技術的な問題だ。現在の測定機器・方法での検出限界値は1ナノグラム。国の暫定指針値(1リットル当たりPFOS・PFOA合計50ナノグラム)が米国と同程度まで引き下げられた場合「1ナノグラム未満の検出が可能なのか」と不安をのぞかせる。仮に測定機器・方法があったとしても「そこまで低減が可能なのか。情報収集に当たりたい」とした。
米軍基地由来の環境汚染を所管する環境保全課、水道法を所管する衛生薬務課の担当者も同様に技術的な不安を口にしている。環境保全課は、米環境保護庁(EPA)勧告値引き下げの動向は追っていたが「そこまで低いとは」と驚きを隠さない。国にPFASの水質、土壌の基準を定めるよう求め続けてきており、米国内の動きとともに「国の動きを注視したい」とした。
PFASが検出されている北谷浄水場を管理する県企業局は低減策の一つとして、2021年度、浄水場の粒状活性炭を高機能なものに取り換えた。高機能炭で処理した水は国の暫定指針値に対して1ナノグラム未満に低減できている。取り換えた粒状活性炭はまだ半数で、残りは22、23年度の2年をかけて取り換える予定だ。
現在、高機能炭取り換え前倒しを検討する段階には至っていない。前倒しとともに4年の取り換え周期を短縮した場合、費用の問題も出てくるという。 (安里周悟)
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