陸自「参拝」確認されず 黎明之塔 報道受け初の中止か


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黎明之塔と星空

 沖縄戦当時の日本軍第32軍の牛島満司令官らを弔う糸満市摩文仁の黎明之塔では、沖縄に駐留する陸上自衛隊第15旅団の旅団長らが、毎年6月23日の午前5時ごろに「参拝」していたが、今年は午前8時半時点まで実施されなかった。

 自衛隊トップの「参拝」の監視を続けている県平和委員会の大久保康裕事務局長(59)は「自衛隊が『私的』と説明してきた参拝が、報道で『公的なもの』ということが明らかになり、来ることができなかったのではないか」と推測した。

 今回、「参拝」が実施されていなければ、2004年以降で初めての中止となる。第15旅団は本紙の取材に対し「参拝はプライベートなこと」として、従来通りの説明を繰り返した。

 陸自は従来、現地トップの「参拝」は「私的」なものとの見解を繰り返してきた。しかし昨年の旅団長の「参拝」を巡って、従来「私的」なものと位置付けてきた防衛省陸上幕僚監部が、部内で旅団長の「参拝」に関する報告文書を作成していたことが今年6月に判明。「私的」としている行為を組織として把握していたことになり、識者からは「『私的』の範囲を逸脱している」との指摘が上がっていた。
 (友寄開)

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