沖縄戦終結から77年。「慰霊の日」を迎えた23日、20万人余の戦没者をしのぶ「沖縄全戦没者追悼式」(県、県議会主催)が糸満市摩文仁の平和祈念公園で開催された。平和宣言を読み上げた玉城デニー知事は「忌まわしい戦争の記憶を風化させないため、沖縄戦の実相や教訓を次の世代に正しく伝えていく」と強調した。県内各地でも早朝から慰霊祭が行われ、非戦の継承を誓い慰霊碑に刻んだ恒久平和の願いをあらためて確認した。
今年は日本復帰50年の節目。玉城知事は平和宣言で、1971年に琉球政府が日本政府に提出した復帰に関する建議書で「基地のない平和な島」を望んだものの、米軍基地の過重負担から派生する事件事故、環境汚染が今も続いていると訴えた。
首相の来賓あいさつが3年ぶりにあり、岸田文雄首相は、現在の平和が「沖縄が歩んだ苦難の歴史の上にある」と言及し、米軍基地の負担軽減に「全力で取り組む」と強調したが、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古新基地建設への直接的な言及はなかった。
式典では正午の時報とともに、参列者が黙とうをささげた。県遺族連合会の宮城篤正会長は追悼の言葉で、ロシアのウクライナ侵攻に触れ、「平和と繁栄は戦没者の尊い礎の上に築かれたものであることを国民は忘れてはならない」と述べた。終了後、その思いについて「ウクライナからの戦争報道は遺族の胸に刻まれた悲惨な体験を呼び起こす。だからこそ、高齢化により出席できない方々の思いも訴えたかった」と明かした。
平和宣言後、沖縄市立山内小学校2年の德元穂菜(ほのな)さんが、平和の詩「こわいをしって、へいわがわかった」を朗読した。
例年5千人以上が参列する追悼式は、2020年から流行した新型コロナウイルスの影響で3年連続で規模縮小となった。一方、今年は戦争体験者の高齢化を考慮し、参列者を21年の約10倍となる340人に増やした。
(嘉陽拓也)
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