【読谷】読谷村議会は24日、テロや外国からの武力攻撃に備える国民保護法に基づき、市町村が担う国民保護計画の策定に必要な手続き条例案を賛成多数(賛成13、反対5)で可決した。沖縄戦で沖縄本島への米軍の上陸地となった読谷村は村民感情などを考慮し、国内で唯一、有事を想定した国民保護計画を策定していない自治体だった。だが、近年の国際情勢を踏まえ、計画策定を進めることに方針を転換した。
琉球新報の取材に石嶺伝実村長は「米軍の本島上陸の地であり、悲惨な過去を有するため条例の提案には葛藤があった」としつつも、「中国による海洋進出やロシアのウクライナ侵攻など、世界情勢が悪化している中で、村民を守るという責任を果たすには必要だった」と説明した。
24日の6月定例会最終本会議で可決されたのは、いずれも村提案の「読谷村国民保護協議会条例」と「読谷村国民保護対策本部および読谷村緊急対処事態対策本部条例」。
国民保護協議会は、村の計画を諮問するための組織となる。村長を筆頭に国や県の職員、警察、消防、自衛隊など、専門的な知識を有する構成員で組織し、有事の際の避難計画などをまとめた計画を策定する。
村は国民保護計画の策定に向け、10月頃に協議会の初会合を開く意向を示している。
国民保護対策本部と緊急対処事態対策本部は、有事の際に国民保護計画に従って村民避難などに対処する。村長を本部長に村職員で構成し、国や県と連携する。
採決で条例案に反対した松田昌邦議員は「沖縄には多くの基地があり、有事の際には戦場になる可能性がある。国民の命に関わるため、保護計画は国が責任を持って立案するべきだ」と述べた。
(名嘉一心)
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