【ちむどんどん第57話】皆を見守る白い面 朝ドラ「ちむどんどん」キーワード集【ネタバレ注意】


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石垣市大浜の豊年祭で、子どもたちと行進する弥勒

 ちむどんどん第57話では、暢子(黒島結菜)と和彦(宮沢氷魚)、智(前田公輝)、愛(飯豊まりえ)の恋の四角関係が加速していきます。和彦と愛が結婚に向けて加速していくことに動揺する暢子。結婚すべきか漠然と悩む和彦は、居酒屋「あまゆ」で鉢合わせた暢子に「(暢子は)本当に結婚願望ゼロなの」と問います。賢秀(竜星涼)の乱入で暢子からの答えは聞けず、呆然とする和彦。和彦のシリアスな表情と、画面に映った「白い面」の笑顔の対比が印象的でした。「あまゆ」に飾られている白い面は何でしょうか。

 白い面の正体は、弥勒(みろく)神です。沖縄では「ミルク」と呼ばれています。弥勒神は、大乗仏教の発展により広まった弥勒信仰にある弥勒菩薩のことで、沖縄の弥勒信仰は、中国唐代の禅僧布袋和尚が弥勒菩薩の化生といわれることに由来するとされています。そのため沖縄の弥勒は、広隆寺の弥勒菩薩半跏思惟像のような、本土の弥勒菩薩像と異なり、布袋様のようにふくよかで柔らかい表情をしています。

 「あまゆ」に飾られている弥勒の面は、顔つきや、面の下に飾られている団扇の柄などから、八重山地方由来の弥勒面と思われます。弥勒神は、海の彼方から豊年をもたらす神さまとして、石垣島の豊年祭や波照間島のムシャーマなど、八重山諸島の島々の祭に登場します。沖縄本島にも、五穀豊穣と無病息災を願って行われる那覇市首里赤田町の伝統行事「みるくウンケー」をはじめ、弥勒が登場する行事が複数あります。


>>【まとめ】ちむどんどんキーワード集

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