KDDI(au)の通信障害は4日、県内で通話がしづらいなどの影響が続いた。2日未明の発生から3日目の長期に及び、行政や医療機関の新型コロナ対策から店の予約、外出先での待ち合わせなど県民生活は多方面で混乱が続いた。
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台風一過の炎天下。那覇市内のauショップから出てきた86歳の男性は「歩き回っても公衆電話が見つからない」と困り果てた様子。「普段なら電話一本で済むことも、相手の所まで歩いて行って確認する必要がある」と足を気遣いながら、連絡手段の復活を望んだ。
妊娠9カ月目に入った27歳の女性は2日夕に不正出血があり産院に相談しようとしたが、電話できなかった。夫もau回線を使っているため夫婦とも外部と電話ができない状態に陥った。 自宅のWi―Fi回線を通じて母らと連絡を取ることができたが、産院と連絡がつくまでに2~3時間を要した。女性は「私は急を要する事態ではなかったが、大量出血や破水などすぐに119番しないといけないような状況を想像すると怖くなった」と話した。
那覇市の70代女性は、市役所で待ち合わせをしている娘と連絡が取れない状況に。「普段は別行動でも携帯電話ですぐに連絡できるが、きょうは全然つながらない。公衆電話を使おうにも、普段は電子マネーを使っているから小銭を持っていない。いろいろ不便がありますね」と悩ましげに語った。
新型コロナ対策でも混乱が続いた。県は感染者のうち、リスクの高い人には電話による聞き取りを行っているが、2~3日にかけて対象となった約300人中、約120人と連絡が取れなかった。現時点で対応の遅れによる重症化などは報告されていない。
また、県は自宅療養者のうち約5千人に対し電話による健康観察を行っているが、多数と連絡が取れていない。新規感染者へはショートメッセージで案内を送るが、2日は1943通、4日朝時点で120通が未到達のままだったという。
県や民間のPCR検査センターでは、検査結果や医師の問診の連絡に遅れが生じている。県は随時電話をかけ直すなどの対応をしている。症状がある人には他社携帯電話や固定電話から健康管理センターへ電話することや、県ホームページの問い合わせフォームからの相談を呼び掛けている。
北部地区医師会病院の救急外来は、発熱の場合は診察前に携帯電話でやりとりした上で車内待機を求める場合があるが、電話がつながらず、発熱者が直接来院する事例があった。
(知念征尚まとめ)
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