県立中部病院が救急一部停止 那覇市立も内科外来制限


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 県内21重点医療機関で新型コロナウイルスの感染などで欠勤する医療従事者が20日、前日比171人増の939人となり、過去最多を更新した。県立中部病院は同日、医師や看護師の欠勤が急増したため、入院の必要性や緊急性がない軽症者の救急受診と一般外来を停止すると発表した。同病院によると、軽症者対応の一次救急を止めるのは初めてとみられる。那覇市立病院も19日から当面の間、入院の延期や内科外来診療の一部制限をすると発表した。

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 県などによると、重点医療機関で50人以上の欠勤者がいるのは約8病院で、中部病院は102人で最多となった。クラスター(感染者集団)の影響もあるが、多くは家庭内感染や家族の看護、濃厚接触で休んでいる。

 中部病院によると、同病院の一次救急の停止期間は21日から、一般外来が25日からで、いずれも8月31日まで。コロナ禍の中、救急医療の現場に各診療科から応援の医師や看護師を充ててきたが、これ以上、欠勤者が増えると高度な医療が必要な救急患者の対応や病床を確保できなくなるため、一次救急の制限を判断した。救急搬送以外で来院する軽症者は基本的に断るが、重症などと判断すれば診察につなげる。担当者は「軽症者は日中のクリニックを受診し、解熱剤などの薬を準備してほしい」と呼び掛けた。

 地域中核病院の救急制限に、中部地区医師会の中田安彦会長は「救うべき命を守るための判断であり、県民は深刻なことだと受け止めてほしい」と述べ、「軽症者の救急搬送要請が増えれば、搬送受け入れ制限にも波及する」と解説した。

 那覇市立病院の診療制限は、患者や職員に感染が確認されたため。内科の再来受診で症状が落ち着いている患者については、薬の処方のみにしたり予約を延期したりする。院内感染者の関連病棟や部署など詳細は調査中で、今後公表する。
 (嘉陽拓也、伊佐尚記)


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