「現場で30分以上待機」前年の3倍、「搬送先を4回以上問い合わせ」も急増…沖縄、コロナ拡大で救急搬送困難事例が増加


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 新型コロナウイルスの感染拡大によって医療提供体制が逼迫(ひっぱく)している影響で、沖縄県内では今年4月以降、救急搬送時に30分以上現場で待機することや、受け入れ先を探すために医療機関に4回以上問い合わせる救急搬送困難事例が、21年度同時期に比べ共に増えている。

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 県対策本部によると、救急車が到着した後の30分以上の現場待機は、2022年度は7月上旬の第15週が最多78件(コロナ疑い25件、コロナ以外の一般救急53件)で、21年度の同時期の22件(コロナ疑い1件、一般救急21件)の3倍だった。

 受け入れ先を探すための医療機関への4回以上の問い合わせは、22年度は6月末から7月初旬(第14週)が最多の40件(コロナ疑い5件、一般救急35件)で、21年度同じ時期は1件(一般救急1件)と圧倒的に増えている。週数は年度始めの4月上旬を第1週として数える。

 救急搬送については、新型コロナの陽性が確定すれば県対策本部が入院先を調整しているが、濃厚接触者やコロナ以外の一般救急の場合、救急隊が医療機関に直接連絡している。

 県対策本部の医療コーディネーター・佐々木秀章医師(沖縄赤十字病院)によると、社会活動の再開で一般救急が増えた一方、病床が空かないために搬送受け入れを制限する病院も増えているという。佐々木医師は「対応できる病院がないため、何度も照会して待つ時間も長くなる。南部から中部など他地域の病院へ搬送することも珍しくない」と話し、窮状を訴えた。 (嘉陽拓也)

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