沖縄県内の新型コロナウイルスが3日連続で過去最多を更新する中、県が実施する濃厚接触者向けのPCR検査が予約困難に陥っている。検査2会場の検査能力は1日計1千件程度だが、新規感染者は連日3千人を超えており、感染者より多いとみられる濃厚接触者を検査しきれなくなっている。接触者以外が対象の民間PCRセンターや抗原検査場も逼迫(ひっぱく)度合いが増している。
接触者PCRセンターは沖縄市の県総合運動公園と南城市公共駐車場の2会場ある。県によると、日曜日から木曜日は1日1千~1100件程度、検査日が休日に当たる金曜日と土曜日は600~700件程度を検査できる。
感染拡大に伴って両会場の予約が急増しており、予約の受け付け開始後すぐに枠が埋まってしまう状態だ。高齢者は感染割合が増えていることや、重症化リスクが高いことを考慮し、61歳以上の特別枠があるものの、同枠も予約が取りづらくなっている。
両会場以外にも、県が民間に委託した無料PCR検査センターもあり、全体の検査能力は最大約2万8千件ある。しかし、接触者は民間のPCRセンターではなく県の接触者PCRセンターで受検するよう促されていて、予約が取れなくなった場合に行き場を失ってしまう。県の担当者も対応に苦慮しており「検査能力はすぐに増やせない。事前に抗原検査キットを購入しておくなどの対策を取ってほしい」と要望した。
県の接触者PCRセンターだけでなく、民間PCRセンターや民間の抗原検査場も予約が取りにくくなっている。抗原検査場となっている那覇市内の薬局担当者は「PCR検査が受けられないということで抗原検査を希望する人もいるが、予約は来週まで埋まっていて断っている」と説明した。
抗原検査場は一部余裕のある検査場もあるものの、検査以外の本来業務もあるほか、旅行需要喚起事業「おきなわ彩発見キャンペーン」に伴う検査も請け負っていることなどから、検査数を増やすのが難しいという。
(稲福政俊)
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