【動画】飛沫転石帯! 〜小さな貝たちのすみか〜 <沖縄・海の生き物たち Vol. 54>


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海と陸のはざま、足元の石ころをどかしてみると…

ひまつてんせきたい、って聞き慣れない言葉ですね。海岸で、満潮のときでも水が届かず、せいぜい波しぶきがかかるような場所を飛沫帯と言い、その中でも石がごろごろしている場所のことです。

そんな場所にしゃがんで、足元をじーっと見ていると、何かごそごそ動くのはオカヤドカリの仲間。砂浜で見るのよりとても小さく、おそらく今年生まれの子どもたちです。

オカヤドカリ類は、波打ち際で卵から孵化するとプランクトンとして海を漂い、数週間後にどこかの砂浜に戻ってきます。その時はわずか数ミリ。さぁ、自分の体に合った貝殻を探さなければ…そう、この数ミリの巻貝がたくさん暮らす場所が、どうやら飛沫転石帯なんです。

足元の石ころをそっとどかすと、とんがった小さな巻貝がいました。クビキレガイ、大きさは6mmくらい。オカヤドカリの子どもは、よくこの貝殻に入っています。さらに落ち葉をめくると、もっと小さな薄茶色の巻貝、ウスイロヘソカドガイがいました。大きさは4mmくらい。体の大きさの割には歩くのが速そう。しばらく観察していると、少し大きめの貝が来ました。ツヤハマシイノミガイ、1.5cmくらい。よく見ると、目は太短いまゆげみたいな形でユーモラス!

これらの貝は、たぶん落ち葉や石に生えた苔のようなものを食べているのかなと想像します。海と陸の狭間に、こんな小さな生き物たちの世界があったんだなぁ。

Vol. 54 クビキレガイ

Truncatella guerinii

● 目:盤足目 Discopoda

● 科:クビキレガイ科 Truncatellidae

● 属:クビキレガイ属 Truncatella

動画撮影:

クビキレガイ  2022年7月8日(南城市 玉城海岸)
ウスイロヘソカドガイ  2022年7月8日(南城市 玉城海岸)
ツヤハマシイノミガイ  2022年7月8日(南城市 玉城海岸)

動画撮影・編集&執筆

鹿谷法一(しかたに・のりかず しかたに自然案内)

琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島に生まれ、海に憧れて1981年に沖縄へ。専門はカニなどの甲殻類。生き物の形とはたらきの関係に興味がある。最近は、沖縄の貝殻を削って磨くシェルクラフトを行っている。

鹿谷麻夕(しかたに・まゆ しかたに自然案内)

東洋大、琉球大卒、福井県立大大学院修了、東大大学院中退。東京に生まれ、20代半ばでサンゴ礁に興味を持ち、1993年に沖縄へ。2003年より、しかたに自然案内として県内で海の環境教育を始める。しかたに自然案内代表。沖縄の海辺を考える「里浜22」や、温暖化対策に取り組む「ゼロエミッションラボ沖縄」でも活動中。

 

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