押し合いへし合いの貝殻交換会
この春は集会もお出かけも自粛!でしたね。そろそろ、息抜きに近所の海辺を散歩するくらいは大丈夫かな。先日、久しぶりに砂浜に行きました。砂浜の生き物といえば、オカヤドカリの仲間たち。中でも小型のナキオカヤドカリは、海岸の岩に住む巻き貝、カンギクやアマオブネ類の貝殻を背負っているのをよく見ます。
ヤドカリは、自分の成長に合わせて貝殻を取り換えます。窮屈だと体がはみ出るし、ブカブカだと貝殻が脱げやすいから。でも、広い砂浜で自分にちょうど良い大きさを探すのは、なかなか大変。そこで、時々ヤドカリたちが集まって、貝殻交換会が始まります。
この交換会、あまり平和な集会ではありません。少し大きくて力の強いヤドカリが、良さそうな物件を背負っているヤドカリに、それを明け渡せ!と迫って、相手に乗っかったりつついたり。そのうちに、周りのヤドカリたちが集まって来ます。誰かが別の貝殻に引っ越したら、空き家ができる。それを次の大きさのヤドカリが狙うんです。
ヤドカリが1人で新しい貝殻を見つけた時は、まず自分のハサミで貝殻の入り口の大きさを測り、貝殻をぐるぐる回して中の砂やごみを出し、のぞき込んで中を確認してから、やっと自分の体を滑り込ませます。でも、たくさんのヤドカリが集まる貝殻の交換会は大混乱!一瞬、列に並んでも、すぐに押し合いへし合いです。ヤドカリたちに、密集禁止は関係ないか!
Vol. 27 ナキオカヤドカリ
Coenobita rugosus
● 目:十脚目 Decapoda
● 科:オカヤドカリ科 Coenobitidae
● 属:オカヤドカリ属 Coenobita
動画撮影:
ナキオカヤドカリ 2020年5月9日(南城市 玉城海岸)
動画撮影・編集&執筆
鹿谷法一(しかたに・のりかず しかたに自然案内)
琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島に生まれ、海に憧れて1981年に沖縄へ。専門はカニなどの甲殻類。生き物の形とはたらきの関係に興味がある。最近は、沖縄の貝殻を削って磨くシェルクラフトを行っている。
鹿谷麻夕(しかたに・まゆ しかたに自然案内)
東洋大、琉球大卒。東大大学院中退。東京に生まれ、20代半ばでサンゴ礁に興味を持ち、1993年に沖縄へ。2003年より、しかたに自然案内として県内で海の環境教育を始める。しかたに自然案内代表。手作りぬいぐるみで海を伝える、あーまんシアターも主宰。
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