靖国神社前でガマフヤー具志堅さんがハンスト開始 戦没者の遺骨が混じる土砂の辺野古新基地への使用撤回を訴え、在京の遺族らも集う


この記事を書いた人 Avatar photo 仲井間 郁江
靖国神社前でハンガーストライキを始めた具志堅隆松さん=14日

 【東京】沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松さんが14日から靖国神社前でハンガーストライキを始めた。15日まで。沖縄県名護市辺野古の新基地建設の埋め立て土砂の調達先に戦没者遺骨の混じる南部地域を含めるのを国に撤回するよう求めている。

 具志堅さんは国との今月5日の意見交換でのやりとりを問題視。土砂調達で遺族の意見を聞く機会を防衛省が「予定もない」と明言したことに「遺骨の問題は大事と言いながら、遺族へ配慮しないとはまったく整合性がない」と防衛省へ抗議する考えを示した。

  ▼今も2719体が地中に 沖縄戦戦没者の遺骨

 具志堅さんのハンストは県庁前や糸満市の平和祈念公園に続く取り組み。この日、靖国神社前には支援者らも多数集まった。遺骨の混じる土砂の埋め立て土砂使用について賛否を問うシール投票も行われた。

 父を現在の八重瀬町で亡くした遺族の男性=東京都=も靖国前を訪れた。男性は「戦没者遺骨収集法が成立して24年度までが集中実施期間であと2年だが、一回だけ鑑定に関して『不適合』の通知が来ただけ。丁寧な説明もなく時間ばかりが過ぎ、遺族も高齢化する一方だ」と嘆いた。

 今月5日の遺族らと厚生労働省、防衛省との意見交換で、厚労省は2003年度から今年6月末までに遺骨の1167件の審議をし、遺留品などの情報のある6柱の身元特定をしたことを明らかにした。DNA鑑定の状況も報告されたが、遺族の男性は「スピード感がない」と作業の遅さに落胆した。 

沖縄戦の激戦地の南部の遺骨に関して今月5日に開かれた厚生労働省や防衛省の担当者との意見交換会=都内

 5日の防衛省との意見交換では、土砂の調達先に関して防衛省担当者が「遺族に意見聴取はしていない。土砂調達先が確定していないので意見をたまわる予定もない」と回答している。

 ハンストに臨んだ具志堅さんは「土砂の調達の計画をつくるにあたり、遺族の考えを聞くには至らなかったと言うならまだしも、これからも聞く予定はないと言うのは、今後も遺族に配慮する予定はないと言うのと同じ。戦没者へも遺族へも配慮するつもりはないと言い切ったのは見過ごせない」と、防衛省の対応を批判した。 防衛省は5日の意見交換で、遺族らが土砂調達先で南部を外すよう求めたのに対し、担当者は「遺骨の問題は大変重要と考えていることから土砂の調達先についてはしっかり検討する」と繰り返すばかりで、明言を避けている。

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