沖縄のサンゴ白化、過去最悪レベルも 石垣、宮古島で深刻 台風接近少なく海水温下がらず


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宮古島沖の白化したサンゴ=宮古島市平良狩俣の市海業センター沖約350メートル、水深3~4メートルの海中(市海業センター提供)

 地球温暖化による海水温の上昇や先島諸島への台風の接近が例年と比べて少ないことなどから、石垣島と宮古島でサンゴの白化が進んでいる。本島北部の浅瀬でも確認されている。専門家は、国内最大のサンゴ礁「石西礁湖」で大規模な白化が起きた2016年の状況と似ており「高水温の状態が続くと、過去最悪の状況になる恐れがある」と指摘する。

 白化は主に、高水温によるストレスでサンゴの体内に住む共生藻が急激に減少するなどして起こる。白化から死ぬまでには時間差があり、軽度なら環境が改善すれば回復する可能性がある。

 サンゴ礁保全などを研究する琉球大の中村崇准教授によると、米海洋大気局(NOAA)のデータでは沖縄周辺で7月以降、海水温が30度以上の日が続き、既に長期間、高水温にさらされてきたサンゴのストレスレベルは過去最悪の状況に近づいているという。

 石垣島、宮古島では、サンゴ礁の浅瀬でサンゴの多くが白化しており、比較的深い場所でも白化が報告されつつある。わくわくサンゴ石垣島の大堀則子代表は「島の西側では全体の8割ほど白化しているようだ」と話す。

 中村准教授は、沖縄周辺で発達する台風の進路によっては「海水温が低下することにより、白化にブレーキはかかる」とするが、度重なる大規模白化に加え、水質の変化でサンゴ群集の回復能力も衰えていると話す。

 回復が遅くなる要因として、サンゴの骨格が大型の藻類に覆われる状況が増えつつあることが考えられるという。

 中村准教授は、その理由として、陸上での人間の活動の影響を指摘する。豊かな生態系の基礎とも言えるサンゴが失われれば元に戻すことが難しいとして“守り育てる”視点や政策の必要性を強調する。 (中村万里子まとめ)

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