ちむどんどん第111話では、暢子(黒島結菜)と、家を飛び出した清恵(佐津川愛美)が出会います。暢子の店「ちむどんどん」の名前にピンときて店に入った清恵は、暢子に沖縄が好きなのかと聞かれて「友達に沖縄の方で比嘉さんという人がいて…」と賢秀(竜星涼)との関係をにごします。歌子は「にーにーのことだったりして」と言いますが、暢子はそんな「マサカヤー」なことがあるとは思わず、「比嘉は沖縄で一番多い名字らしいです」と笑顔で返すのでした。
保険会社が加入者を対象に実施している全国同姓調査によると、沖縄の名字では、比嘉や金城、大城が多い傾向にあるようです。沖縄では、琉球藩から沖縄県へと変わった1879(明治12)年、戸籍法が施行され近代の名字が誕生しました。戸籍法施行以前の沖縄の人々の名前は、士族と百姓(=平民)で異なっていました。士族は日本風の和名、中国風の唐名(からなー)、そして童名(わらびなー)を持っていたのに対して、百姓は屋号と童名と「地名のようなもの」を組み合わせて用いていました。そのため、戸籍法施行時、地名や屋号を名乗る人が多かったため、沖縄の名字の8~9割が沖縄の地名と一致するとも言われています。
明治中期から大正初期に入り、進学や出稼ぎなどの本土渡航者が増えると「比嘉(ひじゃ)→比嘉(ひが)」のように、方言に則した読み方から標準語的な読み方へと変化していきました。