処分場で見つかった多額の現金、引き取る権利があるのは誰か―。恩納村の一般廃棄物最終処分場で昨年5月、捨てられた圧力鍋から現金1600万円が出てきた。持ち主は現れず、現金の所有権をめぐって発見者3人と村の訴訟に発展。那覇地裁沖縄支部でこのほど和解が成立し、発見者3人が600万円、村が1千万円を受け取ることとなった。
発見者の代理人弁護士によると、処分場は当時、鉄片などの廃材を拾って活用するため、多くの人が出入りしていた。村も持ち帰りを容認していたという。
うるま市の鉄筋工宮城英和さん(44)は昨年5月16日、処分場を訪れて圧力鍋から1600万円を見つけた。一緒に来ていた友人2人に声をかけ、本物と確認。3人で施設にいた村の嘱託職員に報告し、現金を渡した。
遺失物法では、駅や店舗などの施設を訪れた人が落とし物を拾った場合、拾得者として落とし物に関する権利を認めている。だが、村は処分場に搬入されたものは村の所有物だとし、さらに、宮城さんたちが処分場に立ち入ったのは違法だと主張。現金の所有権は村にあるとした。
「違法な立ち入り」などとした村の対応に納得がいかず、宮城さんら3人はことし1月に村を提訴。村は請求棄却を求めて争った。裁判所から勧告を受け、8月23日に和解した。3人は、600万円のうち、訴訟費用や税金などを差し引いた300万円を恩納村社会福祉協議会に寄付する。
村によると、今回の事案を受けて昨年12月、処分場に搬入されたごみの持ち出しを禁止することなどを条例に明記した。村の担当者は「処分場内は危険が多い。ごみを搬入する村民など関係者以外は立ち入れず、持ち出しも禁止だと条例を改正し、明確にした」と話した。
和解で得た1千万円は、訴訟にかかった金額を除いて村の奨学金に充てる方針だ。
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