首里城再建へ「大きな一歩」 正殿工事で起工式 26年秋の完成目指す


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首里城正殿復元整備工事の起工式でノミ入れ式を行う関係者ら=3日午後、那覇市の首里城公園内特設会場

 内閣府沖縄総合事務局は3日午後、2019年10月の火災で焼失した首里城正殿の起工式を沖縄県那覇市の首里城公園内特設会場で開催した。岡田直樹沖縄担当相、玉城デニー知事らが正殿に使用する国頭村産の「御材木」(オキナワウラジロガシ)にノミ入れをして、工事の開始を告げた。素屋根から建造し、2026年秋の完成を目指す。

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 起工式は沖縄復帰50周年記念事業の一環。県関係国会議員や地域住民ら約200人が参加した。

 岡田氏は「首里城は歴史と文化が凝集した沖縄の象徴だ。19年の火災で県民の心痛は深いものだった。再発防止策を徹底し、管理を行う県と連携して防災、防火対策強化に取り組む」と式辞を述べた。

 玉城知事は「一日も早い首里城の復元を願う県民や国内外の皆さんの思いの結実に向けた大きな一歩だ」と正殿工事の開始を喜んだ。

 今回の「令和の復元」では、前回の復元時には備わっていなかったスプリンクラーや連結送水管に接続する放水口を新設するなど、防火設備・体制を強化する。国や県は「見せる復興」を掲げて復元過程や職人の技術を一般に広く公開していく。総工費は防火設備も含めて約120億円を見込む。

 起工式に先立ち、3日午前には御材木を首里城に運び込む儀式「木遣行列」が催された。正午からは琉球国王の参詣の様子を再現する「古式行列」も行われた。

 琉球王国の中心地だった首里城は、15世紀はじめに築造されたと推定されている。19年の火災を含めて戦災などで5回焼失したが、そのたびに復元されてきた。1992年に「平成の復元」が実現して、正殿地下の遺構部分など城跡は2000年に世界文化遺産に登録された。

 首里城火災直後から、県外、海外からも再建に向けた寄付が集まった。9月末までに県に寄せられた首里城復興への寄付金額は55億8989万8413円に上る。正殿には約24億円を充て、残りは城郭内の北殿や南殿など他の施設の復元に活用する。
(梅田正覚)

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