まるでエコハウス!クマノミとのウィンウィンな関係
イソギンチャクといえば、クマノミ。でも、イソギンチャクにとって、クマノミとの共生は何か良いことがあるのでしょうか?
実は、イソギンチャクにもサンゴと同じように、褐虫藻という植物プランクトンを体に持つ種類があります。イソギンチャクがのびのびと体を広げれば、褐虫藻が光を浴びて光合成し、その栄養をイソギンチャクが分けてもらえるのです。ところがサンゴ礁には、イソギンチャクの柔らかい部分をついばんで食べる魚がいます。チョウチョウウオたちです。チョウチョウウオがたくさんいたら、イソギンチャクはかじられないように体を縮めるか、岩陰にひっそりと暮らすしかありません。それでは光を浴びにくいので、成長がなかなかできません。
そこにクマノミたちの登場です!クマノミたちは、イソギンチャクに自分を守ってもらいつつ、イソギンチャクを食べに来るチョウチョウウオたちを追い払っているのです!自分たちの住みか、そして大家さんを守ろうとがんばっているんですね。
もう一つ、クマノミたちのご飯の食べ残しやフンが、イソギンチャクと褐虫藻の栄養になっているとも考えられています。イソギンチャクって、ソーラーパワーとコンポストつきのエコハウスだったんですね!
イソギンチャクとクマノミは、お互いの力でどちらも大きく育つことができる関係。アパートが大きくなれば、それだけ住人も増えて、にぎやかな海底が生まれることでしょう。
Vol. 58 シライトイソギンチャク
Radianthus crispa
● 目:イソギンチャク目 Actiniaria
● 科:ハタゴイソギンチャク科 Stichodactylidae
● 属:ラディアンサス属 Radianthus
動画撮影:
シライトイソギンチャクとイソギンチャクカクレエビ 2020年12月1日(浦添市 てぃだ結の浜)
カクレクマノミ 2021年4月27日、7月11日、2022年1月31日(浦添市 てぃだ結の浜)
ミツボシクロスズメダイ 2021年8月9日(浦添市 てぃだ結の浜)
動画撮影・編集&執筆
鹿谷法一(しかたに・のりかず しかたに自然案内)
琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島に生まれ、海に憧れて1981年に沖縄へ。専門はカニなどの甲殻類。生き物の形とはたらきの関係に興味がある。最近は、沖縄の貝殻を削って磨くシェルクラフトを行っている。
鹿谷麻夕(しかたに・まゆ しかたに自然案内)
東洋大、琉球大卒、福井県立大大学院修了、東大大学院中退。東京に生まれ、20代半ばでサンゴ礁に興味を持ち、1993年に沖縄へ。2003年より、しかたに自然案内として県内で海の環境教育を始める。しかたに自然案内代表。沖縄の海辺を考える「里浜22」や、温暖化対策に取り組む「ゼロエミッションラボ沖縄」でも活動中。
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