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人生を決めた競馬との出合い、高3の夏のアルバイト…沖縄から北海道で競走馬牧場を設立 大城一樹さん<夢かなう>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
「開業メンバー」の馬を眺める大城一樹さん。馬は妊娠中で、2023年に出産予定=2022年12月9日、北海道浦河町

 競走馬の産地として有名な北海道浦河町に2022年10月、沖縄の言葉で「めでたい」を意味する名の牧場「かりゆしファーム」が誕生した。社長は那覇市出身の大城一樹さん(39)だ。「馬が好き」という理由だけで沖縄を飛び出し、約20年。社長1人、馬3頭で念願の一歩を踏み出した。

 小学生の頃、競走馬を育てるテレビゲームにはまった。競馬好きの伯父が帰省するたび、一緒にテレビで競馬を見るようになった。初めて生で観戦したのは高1の時だ。その年のオールスター馬が集うGI有馬記念。中山競馬場(千葉県)は十数万人のファンであふれていた。地鳴りのような声援が体を突き抜けた時、その後の人生を決めた。「競馬しかない」

 高3の夏休み、ネットで調べた浦河町の牧場にアルバイトを志願した。最初は断られたが、諦めずに何度も電話をかけ続けると、牧場側が根負けした。馬に触れる仕事は新鮮で、忙しさを忘れた。「すぐ辞めるだろう」と言っていた牧場関係者は、バイトの終了日に「卒業したらこっちに来い」と言ってくれた。

 ただ、通っていた高校は進学校。進路指導で就職に猛反対された。担任だけが「やりたいことをやりなさい」と支えてくれた。母親にも反対されたが「父親も言い出すと聞かない人だった」と最後は認めてくれた。その言葉に、幼い頃に亡くした父親の応援を感じた。

 生産、育成、事務と、牧場経営の全てを学んだ。競馬の本場アイルランドでも修行、知識を深めた。

 沖縄の復帰50年の節目に独立した。牧場の門扉にシーサーを置き、紅型デザインの名刺を配る。
 「沖縄で馬に興味を持ってくれる人がいたら、僕がどんなことでも支えるよ」。沖縄色の強い牧場にしたのは、後に続く沖縄の人の道しるべとなるためだ。

  文と写真・稲福政俊

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 おおしろ・かずき 1983年1月生まれ、那覇市曙出身。那覇国際高校を卒業後、北海道浦河町の岡崎牧場(現ミリオンファーム)に就職。現場仕事や経営を学び、2022年に独立。「かりゆしファーム」を開業した。


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連載「夢かなう」

 好きなこと自然体で 幼いころに見た夢、学生時代に追いかけた目標、大人になって見つけたなりたい自分。一人一人目指す場所は違っても、ひたむきに努力する姿は輝いている。夢をかなえた人たち、かなえようとしている人に焦点をあて、その思いを伝える。

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