【年表あり】「オール沖縄」10年、落日か復活か 陰り見える無党派からの支持


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知事選の当選が確実となり、支持者と万歳する翁長雄志氏=2014年11月16日、那覇市壺側の事務所

 名護市辺野古の新基地建設阻止を掲げた故翁長雄志氏が2014年11月の沖縄県知事選で当選し、保守、革新の枠組みを超えた「オール沖縄」が県内政治の主要勢力となってから今年で10年目を迎える。昨年の選挙イヤーでは、天王山の知事選、同じく全県選挙の参院選を制して一定の影響力を保持した。ただオール沖縄を形作った一部保守勢力と経済界の離脱が相次ぎ、昨年の7市長選では自民・公明陣営に全敗を喫するなど、行く手には暗雲も漂う。政治勢力としてのオール沖縄の9年間を振り返り、現在地を見定める。(大嶺雅俊)

 >>辺野古、日米ガイドライン、オール沖縄…山崎拓氏が語る沖縄の政治の舞台裏

 

 2014年11月の知事選での圧勝、同12月の衆院4選挙区全勝で「オール沖縄」は県内政治を主導する存在となった。

 全県的な課題、辺野古新基地建設反対など基地問題に取り組む姿勢が多くの県民に受け入れられ、参院沖縄選挙区を含め、一時は国会議員の沖縄選出枠を独占し一時代を築いた。

那覇市長選で敗れ、敗戦の弁を述べる翁長雄治氏。後方には険しい表情の玉城デニー知事=2022年10月23日午後11時3分ごろ、那覇市古島の教育福祉会館(喜瀬守昭撮影)

 だが、政府による名護市辺野古の新基地建設の進展に合わせるように、全県選挙での得票率は低下傾向を示した。

 21年10月の衆院選では知事・国政選挙で初めて、県内の総得票数が自民を下回った。保守、経済界の離脱もあり、勢力の「革新色」の強まりも指摘される。

 県内各地の首長選においては、オール沖縄全盛期でも勢力の目立った伸長はなかったが、無党派層が多いとされる県都那覇市で、擁立候補が勝利するなど一定の存在感を見せていた。

 だが、昨年の那覇市長選を含めた7市長選全敗で、有権者から地域課題への対応力に疑問符が示された格好となり、無党派層への訴求力の減退も浮き彫りとなった。

 「辺野古反対の民意はいまだ根強い」(オール沖縄関係者)との見方がある一方で、市長選連敗を受け地域課題を勢力内で共有して選挙戦に生かす体制構築も提案されている。勢力の維持・再拡大に向け、模索は続く。


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