米軍、車両つり下げ輸送を取りやめ 沖縄・うるまの海域 沖縄防衛局「理由は承知していない」


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ホワイトビーチ(資料写真)

 【うるま】米海兵隊が1、2の両日にCH53E大型輸送ヘリで高機動多用途装輪車両(ハンビー)2両をつり下げ、沖縄県うるま市の米軍ホワイトビーチから浮原島への輸送を計画していた件で、米海兵隊は1日、両日とも訓練を取りやめた。沖縄防衛局が1日、米側から説明を受けた。取りやめた理由について防衛局は「米軍の運用に関する事項であり承知していない」としている。

 うるま市の中村正人市長は1日、訓練計画について「日米両政府で取り決めた合意に基づくものだ」とし、賛否について「内容に違反や事故がなく、(訓練が)行われていない状況で、コメントは差し控える」と述べるにとどめた。軍用機による軍用車両の輸送を訓練とするかは「解釈の問題だ」とし、「国会で議論していただきたい」と主張した。

 県は1月31日、軍用車両の輸送を「訓練に相当する」として訓練水域外でのつり下げ輸送実施を疑問視。県民に被害や不安を与えるおそれがあるとして中止を求めていた。

 輸送計画があったため、ホワイトビーチ前では市民約30人が抗議の声を上げた。

 輸送時に飛ぶとみられた水域は、1日も漁船が航行しており、地元漁協は安全上の理由から訓練に反対している。軍用機によるつり下げ輸送を巡っては、2021年7月に渡名喜村の入砂島と渡名喜島の間の海上に鉄製コンテナを落下させるなど、たびたび事故が発生してきた。

 今回のつり下げ訓練の中止理由は分かっていないが、米軍が訓練を取りやめた事例が続く。米軍は1月13日にも、人道支援、災害救援などのためのヘリコプター離着陸訓練を同31日に下地島空港で行うとして空港使用届を県に提出した。ただ、同17日に計画が報道されると共に県が使用自粛を求めると、同18日、米軍は県が空港の使用を「認めなかった」などとして訓練を中止した。

(古川峻)

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