沖縄県内の国公立大に薬学部設置へ 県、28年の開学を目指す 薬剤師偏在の解消図る


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県内の薬学部設置に向けて意見交換する(左から)和歌山県立医科大学の太田茂薬学部長、県病院薬剤師会の中村克徳会長、昭和薬科大学薬学部地域連携センター長の吉永真理さん、県保健医療部の糸数公部長=9日、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館

 沖縄県衛生薬務課は10日までに、県内国公立大学の薬学部設置について、2028年の開学を目指す基本方針を定め、県ホームページで公表した。23年度に設置する大学を選定して協定を締結する。24年度に基本計画を策定し、26年度に着工する予定。27年度に学生を募集する予定で、定員は80人程度としている。

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 県内には薬学部を設置する大学はなく、人口10万人あたりの薬剤師数は全国最下位となっているため、地域内で安定的な薬剤師育成が不可欠としている。

 開学による効果としては、薬剤師不足や偏在の解消をはじめ、地域包括ケアシステムの整備や、保健所や地方衛生研究所などの安定的な人材共有にもつながるという。

 今後、設置を希望する大学から新設構想を受け付けて有識者会議で検討し、実現可能性のある構想を採択した後、大学と相互連携して早期の設置を目指す。

 県保健医療部は9日、「県内国公立大学薬学部設立シンポジウム」を那覇市の県立博物館・美術館で開いた。

 21年度から薬学部を開学した和歌山県立医科大学の太田茂学薬学部長が事例を紹介。同大学では人材を定着させるため、卒後2年間、県内で研修を実施し職しやすい流れを作っているという。

 パネル討論では、太田さんと昭和薬科大学薬学部地域連携センター長の吉永真理さん、県病院薬剤師会の中村克徳会長、県保健医療部の糸数公部長、県薬剤師会の前濱朋子会長が登壇した。
(嘉陽拓也、中村優希)

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