京都市立西京高校の生徒らは昨年10月、沖縄で実施したフィールドワークの中で、米軍キャンプ瑞慶覧(フォスター)内のクバサキハイスクールでエアガンを用いた射撃体験をしていた。8日、琉球新報の取材に対し京都市教育委員会は「多角的な視野を身に付ける点で意義があった」と説明している。識者からは沖縄を理解するというフィールドワークの意図とのずれや、事前のプログラム把握・意義づけなど学校側の不十分な手続きを指摘する声が上がった。
昨年10月3日から8日まで同高2年生35人は戦争や基地問題を学び、沖縄の文化などを理解する目的で実質的に修学旅行となるフィールドワークを実施した。平和祈念公園やひめゆりの塔なども訪問した。事前に生徒から「基地内部を見たい」と提案があり、教員が基地広報課とやりとりをした。同年代の生徒との交流を目的にクバサキハイスクールの体育、芸術、音楽、JROTC(予備役将校訓練過程)の授業を体験した。エアガンを用いた射撃を体験したのはJROTCを選択した生徒6人。
「同世代が何を学んで何を感じているのかという多角的な見方・考え方を身に付けられた点で意義があった」と京都市教育委員会は説明した。
琉大大学教育センターの西本裕輝教授は沖縄での射撃体験と、フィールドワークの目的とのずれを指摘し「射撃体験の教育的意義が不明瞭だ」と話した。
京都市教育委員会によるとJROTCの授業に参加できることは事前に把握していたが、射撃体験が行われることは学校側に知らされていなかったという。西本教授は学校側が「プログラムを(米軍側に)任せっきりにしているのは問題だ」と話した。事前の綿密な打ち合わせや、生徒・教員らとの広い議論の必要性を指摘した。中には「人を殺すための道具を扱うことへの罪悪感を持つ子もいる」と、心理的な負担の面からも射撃体験そのものの実施に異論を唱えた。
(金盛文香)
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