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飲み水の有機フッ素化合物 米国のPFAS規制、日本より厳格に 沖縄の米軍基地周辺でも高濃度で検出


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米軍普天間飛行場から流出し住宅地まで飛散する、有機フッ素化合物(PFAS)が含まれる泡消火剤=2020年4月、宜野湾市大謝名(金良孝矢撮影)

 【ワシントン共同】世界で汚染が問題化する有機フッ素化合物「PFAS」を巡り米環境保護局(EPA)は14日、国内の飲み水に含まれる濃度の基準を公表した。PFASは数千種類ある物質の総称で、このうちPFOSとPFOAを、それぞれ1㍑当たり4㌨㌘(ナノは10億分の1)と非常に低い濃度とした。法的拘束力を伴った基準で、一般からの意見を募った上で年内に最終決定する見通し。

【写真】かつて米軍消火剤が流出したことも…街に舞う白い泡の塊

 日本では水道水と、河川など環境中の水の暫定目標値を、両物質合わせて1㍑当たり50㌨㌘としており、米国の基準は格段に厳しい。環境省と厚生労働省は目標値の見直しも視野に検討を始めており、影響を与える可能性がある。

 EPAは基準設定に先立ち、健康に悪影響が出ない濃度として両物質合わせて1㍑当たり70㌨㌘との値を示し、昨年6月には新たな知見を踏まえPFOSは同0・02㌨㌘、PFOAは同0・004㌨㌘と大幅に引き下げた。これを基に、浄水場での処理や検査などを考慮し、技術的に運用可能な基準値をまとめた。  新規制では、水道事業者にPFASの濃度を監視・公表させ、基準を超えた場合は抑えることを義務付ける。

 PFASはフライパンや食品包装、泡消火剤などに広く使われた物質。分解されにくいため環境中に長く残り、人や動物の血中、食品からも見つかっている。がんのリスクを増加させたり、コレステロール値を上昇させたりする疑いがある。新型コロナウイルスなどに対する免疫の働きを阻害するとの報告もある。

 日本でも各地の河川などで検出が相次ぐ。沖縄県では米軍基地周辺から高濃度で確認され、県などが基地への立ち入り調査を求めている。(共同通信)

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