2月22日に発生した火災で全焼し、現在休業中の宜野湾市大山のハンバーガー店「ボアソルチ」で、店の再建を支援しようと店の常連客や友人が主導し、フリーマーケットを開催している。燃え残ったインテリア雑貨などのすすを払い、洗浄した上で販売している。その他、常連客が持ち寄った本や雑貨も並んでいる。
▼妻と口論、高さ30メートルの橋で宙づりの観光客 「生きていればいいこと必ず」励まし救助の男性に感謝状 沖縄・石川署
火災によるけが人や延焼はなかったが、店舗1階部分が全焼しており、補償費など多額の負債が店主夫妻の肩にのしかかっている。売上金は店舗の再建費用や補償費などに充てられる。
店主の中村朝彰さん(43)は「燃え上がる店舗の前でぼうぜんと立ちすくんだ。ショックで何も考えられなかった。仲間や友人らが集まってくれたことが救いになった」と感謝する。
屋外で椅子の汚れを落とす作業をしていた常連客の比嘉貴之さん(43)は「火事のニュースを見たときは信じられなかった。中村さんとは直接の友人ではないが、困っている人を助けるのは当然」と話した。
フリーマーケットは店舗横のスペースで火災直後から始まり、2週間で約千人が訪れた。メダカ即売会も同時に開催され、県内外の愛好家ら20人が自慢のメダカを提供した。
中村さんが店舗経営の傍らメダカのブリーダーもしていたことから交流があり、火災を知った仲間らが集まった。発起人の一人でブリーダーの天久真太郎さん(43)は「ボアソルチは県内のメダカ仲間が集まる憩いの場。無視はできない」と話す。メダカの売上金の半額が店舗に寄付される。
店舗内でも約100匹のメダカが飼育されていたが、火災によりほとんどが死んでしまった。生き残った数匹は販売せず中村さんが手元で育てている。
「燃え上がる火の中で生き抜いたたくましい姿に元気をもらえた」と大事そうに水槽を抱えた。「椅子やテーブルはまた買えばいいが、命は戻らない。焼け死んだメダカたちには申し訳ないことをしてしまった」と沈痛な表情を浮かべるも「今後を考える余裕は持てないが、周囲の人たちの協力に支えられている」と前を向いた。
フリーマーケットは今月いっぱい不定期で開催される。他にも、県内のアパレルブランドGKCYがチャリティーTシャツを販売するなど、支援の輪が広がっている。
(普天間伊織)
【関連リンク】
▼男性宛てに届いた「6億円支援します」のメール…コンビニ店員が詐欺被害を防ぐ