「栗山監督はミラクルを起こす特別な男」大学時代の球友・比嘉さん、WBC優勝祝福「人を生かす采配がドラマ生んだ」


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東京学芸大学硬式野球部4年時の栗山英樹さん(前列左から3人目)、比嘉正央さん(同4人目)とチームメートら=1983年、東京都の駒沢球場(比嘉さん提供)

 野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で14年ぶり3度目の優勝を果たした日本代表を、特別な思いで応援していた人がいる。侍ジャパンを率いた栗山英樹監督と、東京学芸大学野球部時代にチームメートだった比嘉正央(まさなか)さん(62)=那覇市首里赤平町=だ。

 開幕前に仲間らと応援メッセージを送っていたと言い、最高の結果を残した友に「選手一人一人を大切にする栗山だから果たせたことだ」と祝福した。

 比嘉さんは首里高野球部を経て、東京学芸大野球部で主将を務めた。エースで4番だったのが同期の栗山さん。「大事な場面で打順が回り結果を残す。ミラクルを起こす特別な男。重圧は大きかったはずだが、常に周囲を思いやり、喜びを与える存在だった」と振り返る。

当時を振り返る比嘉正央さん=25日、名護市

 印象に残るのは1年秋のリーグ戦。比嘉さん、栗山さんだけがルーキーでレギュラー入りした。ショートの比嘉さんがゴロをさばいてアウトを取ると、マウンドから歩み寄ってきた栗山さんに「比嘉、ありがとう」と言葉をかけられた。平凡な遊ゴロの処理で不思議だったというが、後から「緊張しているのではと気遣ってくれた」と気付いたという。

 卒業し、栗山さんがプロ入り後も親交は続き、日ハム監督時代は、キャンプ地の名護市に大学時代のチームメートが集まることもあった。

 今回、WBC開幕前に仲間とのグループLINE(ライン)で栗山さんを激励すると「大丈夫です ここまで野球をやらせてもらい 何があっても感謝しかありません! みなさん楽しんでください」との返事が返ってきたという。

 優勝に導いた栗山さんについて「選手を戦力に見立て戦術を練るのではなく、『その人をどう生かすか』を考える彼の采配が、さまざまなドラマを生んだ」と振り返る。栗山さんの「人のために動く」姿勢は今後も変わらないだろうが「大役を終えた今はゆっくり休み、大好きな沖縄に遊びに来てほしい」とねぎらった。
 (岩切美穂)

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