土砂搬出道路整備への農地転用、沖縄県が審査へ 糸満市米須の鉱山開発 市の手続きは完了


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糸満市米須の鉱山=2021年7月(小型無人機で撮影)

 【糸満】沖縄戦跡国定公園内にある沖縄県糸満市米須の鉱山開発に関して、糸満市農業委員会は29日、開発を計画する沖縄土石工業(永山盛也代表)が掲出していた農地の一時転用申請に関する補正書類をそろえて県農林水産部農政経済課に提出した。計画に関する市での手続きは完了した形で、県は今後、書類を精査していく。

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 業者は2022年11月、鉱山から採掘した琉球石灰岩を搬出するための仮設道路を整備するために農地の一時転用を申請していた。

 市は23年3月上旬、業者が提出した開発行為の協議申請書を審議し、8日に協議成立通知を出した。その上で、市は業者と協定書を結び、粉じん被害や道路破損など「周辺地域に影響を与えない」ことを求めた。

 搬出入道路に隣接する自然壕(ごう)「シーガーアブ」については、業者は22年12月に県に提出した開発に関する再届け出でアブを開発区域から除外しており、地元・米須自治会と交わした誓約書でも開発しないとしている。市と業者の協定書でもこれを順守することが盛り込まれている。

 市景観審議会は、業者が市風景づくり条例に基づき提出した行為届け出に28日付で適合通知を出した。今後、業者に対して植栽された樹木の管理計画書を任意で提出するよう求める。

 農道の他目的使用は2月上旬に許可され、関係法令の手続き完了を待っていた。伐採届も29日付で確認通知を出した。

 (比嘉璃子)

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