【動画】海藻もぐもぐ ~チョウセンサザエ~ <沖縄・海の生き物たち Vol. 63>


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モリモリ食べて栄養つけるぞ

サザエは食べたことがありますか?沖縄のサザエは本土の種類と違って、貝殻にトゲがありません。和名をチョウセンサザエと言いますが、朝鮮半島にいるわけではなく、奄美諸島よりも南で見つかります。江戸時代の日本の学者がトゲのないサザエを見て、外国で見つかる珍しい種類、という程度の意味で名付けたようです。

私たちが食べるサザエの身は、主に足の筋肉の部分です。貝殻から丸い蓋を開けて外に出てくる足の上に、触角や目や口のついた顔があります。内臓のあるお腹は顔の後ろで、貝殻の中に隠れています。

そんなサザエ自身の食べ物は、岩の上に生える小さな海藻です。それも、アーサのような緑藻類よりも、赤っぽい色をした紅藻類を好むようです。では、どうやって食べているのでしょう?実は、サザエの口の中には歯と舌の役割を合体させたような「歯舌(しぜつ)」という細長い器官があります。素材はエビ殻のようなキチン質で、表面はやすりやおろし金のようにざらざらしています。サザエは、唇の中の歯舌を岩の表面に押し当てて、海藻を削り取るようにして食べているんです。

私たちがサザエを食べるとき、身の中にザリッとした食感があったら、たぶん歯舌です。丁寧に身をさばけば取れるので、命を美味しくいただくと同時に、せっかくなら歯舌を観察して、生き物の不思議を感じてほしいなーと思います。

Vol. 63 チョウセンサザエ

Turbo argyrostomus

● 目:ニシキウズガイ目 Trochida

● 科:リュウテン科 Turbinidae

● 属:リュウテン属 Turbo

動画撮影: 

 チョウセンサザエ 2023年1月5日(浦添市 伊奈武瀬)

動画撮影・編集&執筆

鹿谷法一(しかたに・のりかず しかたに自然案内)

琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島に生まれ、海に憧れて1981年に沖縄へ。専門はカニなどの甲殻類。生き物の形とはたらきの関係に興味がある。最近は、沖縄の貝殻を削って磨くシェルクラフトを行っている。

鹿谷麻夕(しかたに・まゆ しかたに自然案内)

東洋大、琉球大卒、福井県立大大学院修了、東大大学院中退。東京に生まれ、20代半ばでサンゴ礁に興味を持ち、1993年に沖縄へ。2003年より、しかたに自然案内として県内で海の環境教育を始める。しかたに自然案内代表。沖縄の海辺を考える「里浜22」や、温暖化対策に取り組む「ゼロエミッションラボ沖縄」でも活動中。

 

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