「ちいかわ」イベント沖縄でも行列 売り上げは全国最高額の見通し なぜハマる人が続出するのか?


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週末は大勢の人でにぎわう「ちいかわ飯店」の会場=4月28日、浦添市のサンエー浦添西海岸パルコシティ(提供)

いま、子どもだけでなく大人にも人気のアニメキャラクターが「ちいかわ」だ。
「なんか小さくてかわいいやつ」が通称の愛らしいキャラたちは、イベントを開催すれば全国で行列ができ、グッズも完売が相次ぐ。女性誌では特集が組まれるほどの人気ぶり。
その「ちいかわ」のイベントがサンエー浦添西海岸パルコシティで開催されている(5月28日まで)。イベントはドリンクと肉まんを提供するカフェに、グッズ販売という内容。全国のパルコを巡回しているが、沖縄での売り上げは全国最高額を記録する見通しだ。サンエーパルコの担当者は「当初想定の2倍の売り上げとなっている。商品単価が高いこともあるが、1人当たりの購入数も多くなる傾向にある」と驚く。
なぜこれほど人気なのか、会場でファンの声を聞いた。

メインキャラクターの(左から)ハチワレ、ちいかわ、うさぎ

■かわいいとシュールが共存

沖縄でのイベントはゴールデンウイーク直前の4月28日から始まった。初日から3日間は入場整理券を求めて長蛇の列ができた。1カ月の長期開催にもかかわらず、平日も来場者は絶えず、客層は子どもから高齢者まで幅広いという。

「ちいかわ」はイラストレーターのナガノさんが2020年1月からツイッターで連載している漫画。21年から講談社が単行本を刊行し、22年4月からはフジテレビ系の「めざましテレビ」内でアニメが放送されている。「ちいかわ」「ハチワレ」「うさぎ」などのキャラクターの日常が描かれる。

魅力の一つはそのかわいらしく純真なキャラクター設定。東京都から訪れた40代の女性は、数年前にツイッターで偶然見かけて、そのかわいさの虜(とりこ)になったという。「無垢(むく)な彼らの行動に『何やってんだ』と思いながらも、ついつい気になって見てしまい、気付いたらファンになっていた」と話す。

南風原町の60代の女性は娘2人と「ちいかわ」の世界にはまっているという。「ほのぼの系と思ったら、人間世界のリアルを入れてくるシュールさとギャップがいい。かわいいだけではなく、物語の内容に共感できる部分も多く、大人の方がはまる作品なのでは」と分析した。那覇市の30代の男性は、お気に入りのエピソードを挙げ、「ほのぼのとした世界の裏に隠された意味や、現代社会に通じる歯がゆさに共感できる」と作品の奥深さを語る。

沖縄ゆかりのキャラクター「シーサー」

■ちいかわとシーサー

「ちいかわ」と沖縄を語る上で不可欠なのが「シーサー」というキャラクターの存在だ。ちいかわでのシーサーはサービス業に従事し、お酒を造る資格取得に励む頑張り屋キャラ。沖縄の特産品を紹介することも多い。

今回のイベントでは沖縄限定コンテンツ「シーサー祭り!!!」も開催された。沖縄ゆかりのキャラだけに人気は高く、全グッズの中で「シーサーのお守り」が一番早く売り切れた。

シーサーをきっかけに「ちいかわ」にはまったという沖縄市の30代の女性は「ほかに地域性があるキャラクターはいない。シーサーだけが特別。それが頑張り屋の設定なのもうれしい」と声を弾ませる。「子どもはそのかわいい見た目、大人は内容にひかれる。思い通りに行かなくてもひたむきに生きるちいかわたちの姿に、自分の行動や人生を考えさせられることもある。内容が深いからこそ大人の方がはまるのだと思う」と話した。

入場整理券を求めてイベント開始前から行列ができた=4月28日、浦添市のサンエー浦添西海岸パルコシティ(提供)

■パルコが得意なコンテンツ

沖縄会場の活況から見えてきたのは、(1)ちいかわが世界観とかわいらしい見た目で、年齢や性別を問わず支持を集めている(2)県外からの来場者も一定数いる(3)沖縄ゆかりのキャラクターの特殊性―の3点だ。

サンエーパルコの担当者は「会期中にゴールデンウイークがあり、全国から集客できたことや、限定コンテンツの開催、ちいかわが幅広い年代から支持を集めていることがイベント成功につながった」と分析。「これだけ長期間のキャラクターイベントの開催はサンエーパルコとして初めて。コロナの影響が落ち着いてきたことから、やっと沖縄にパルコが得意とするコンテンツを持って来られた。今後も県内の皆さんに足を運んでいただけるよう取り組んでいきたい」と話した。

同店での「ちいかわ」関連イベントは5月28日(日)まで。営業時間は午前10時~午後8時(ドリンクスタンドラストオーダー午後7時半)。

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