【南城】昨年7月25日に南城市佐敷の団地で30代男性が心肺停止となり、最初に救命措置を行った島尻消防署佐敷出張所の隊員が自動体外式除細動器(AED)を車両に置いたまま携行していなかったことが25日、分かった。島尻消防組合消防本部が同日、ホームページで発表した。島尻消防によると、心肺停止の指令がある時はAEDを含めた資器材を携行する手順になっている。男性は翌7月26日に死亡した。
島尻消防は初動でAEDを携行しなかったことの過失の有無について、琉球新報の取材に明確な回答を避けた。死亡との因果関係について、島尻消防はホームページで「不明」とした。
島尻消防によると救急要請があったのは7月25日午後5時ごろ。最寄りの島尻消防署佐敷出張所には4人の隊員が出勤し、3人は別件対応のため救急車で出動していた。待機していた50代の隊員は、支援車で現場に出動した。
現場到着時点で心肺停止の疑いがあったが、AEDを携行せず、人工呼吸器具などの資器材を持って、現場到着後の5時6分から心臓マッサージを実施した。隊員は心臓マッサージ開始後に、AEDを車両に置いてきたことに気づいた。1人で対応していたためAEDを取りに行けず、数分後に到着予定だった救急隊によるAEDの使用も考慮し、処置を続行した。
その後、5時12分に救急隊が到着。AEDで電気ショックを5回与え処置したが、翌日搬送先の病院で死亡が確認された。
島尻消防によると、救命措置は通常隊員3人で役割分担をして対応する。佐敷出張所の勤務態勢は通常4人で、「3人が出動し、1人で救急指令に対応することもたまにある」という。
島尻消防は今後、AEDと資器材を同じ救急バッグに入れて一元化し、症状に応じた資器材の携行を再確認するという。また、1人で出動する場合の対応改善に取り組み、4人の勤務態勢の見直しも検討するとしている。
(上江洲仁美)
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