2022年2月末に閉鎖した那覇市の平和通りにある牧志公設市場衣料部・雑貨部の建物を所有するシンバホールディングスは22日までに、同公設市場での事業に必要な借地契約を結んだ。期間は30年。同日、同社の安里享英社長が平和通り商店街振興会事務所で市場周辺の通り会幹部らと面談。安里社長は10月までに「周辺商店街との相乗効果が生まれる事業」を目指して基本コンセプトを固め、年明けにも内装工事に着手し、来夏のリニューアルオープンを目指す意向を示した。
シンバホールディングスは当初、昨年10月の施設リニューアルを想定していたが、複数いる土地所有者との調整に時間を要し、8月に借地契約を結んだ。衣料部・雑貨部の建物はシンバが市から有償で譲渡された。同社によると、すでに小売業や飲食業など複数の事業者から出店希望が寄せられているという。

安里社長は意見交換の場で「施設整備に当たっては周辺店舗や街の環境に配慮し、調和のとれた施設にする」と話し、今後も定期的に通り会と意見交換の場を設けることを約束した。
意見交換には平和通り商店街振興会の奥間良順副理事長や第一牧志公設市場の粟國智光組合長、ガーブ川中央商店街組合の由利充翠組合長らが出席した。出席者からは、トイレや会議室など公共スペースの確保や騒音や悪臭など発生させないなど地域住民に配慮した施設整備を求める声が上がった。
公設市場衣料部・雑貨部は1951年に市が開設。82年に現在の建物に改築された。冠婚葬祭用の着物や日用雑貨などを販売し、市民や県民の暮らしを支えた。昨年2月の閉鎖以降は人の流入は減っており、通り会などは施設リニューアルによる中心商店街の活性化に期待を寄せている。
(吉田健一)