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1950年創業の首里劇場、10月から解体工事 現存する県内最古の映画館 後継者不在で22年に閉館


1950年創業の首里劇場、10月から解体工事 現存する県内最古の映画館 後継者不在で22年に閉館 10月に解体されることになった首里劇場=25日、那覇市首里大中町(大城直也撮影)
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 県内で現存する最古の映画館で、最後の木造劇場である首里劇場(那覇市首里大名町)が10月に解体されることが分かった。2022年4月に3代目館長の金城政則さん(享年67)が亡くなった後、閉館していた。閉館後に、首里劇場の調査や見学会などに取り組んできた「首里劇場調査団」(平良斗星団長)は、解体作業の工事が10月16日から始まることを明らかにした。瓦の撤去から始め、年内に解体を終了する予定。跡地の利用は現時点で決まっていない。

 首里劇場は1950年創業。沖縄芝居の各劇団が公演したり、一般映画の上映もあったり「娯楽の殿堂」として親しまれた。70年代は成人映画を中心に上映を続けた。2021年、館長の金城さんの願いで、名作を上映する「名画座」として再始動した。22年に金城さんが急逝し、後継者不在などで閉館した。

 首里劇場調査団によると、その後も、建物の老朽化が急速に進み、遺族の意向で今年中の取り壊しが決まったという。

 首里劇場調査団は首里劇場の歴史や文化的価値を記録に残してきた。解体工事の前に、見学会を10月7日午後1時から6時まで開く。同団副代表の平良竜次さん(48)は「取り壊しの前に、新たに見つかった貴重な広告看板や舞台引き幕などを展示する。地元の方々、昔、首里劇場に行ったことがある年配の方々にもぜひ見ていただきたい」と話した。

(田中芳)

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