現存する沖縄最古の映画館で、芝居小屋としても親しまれた那覇市の首里劇場が70年余の歴史に幕を閉じた。劇場の金城政則館長が4月に亡くなって以降休館中だったが、劇場の老朽化が進む中、引き継ぐ人もおらず閉館が決まった。同劇場で5日、「首里劇場友の会」と「首里劇場調査団」主催の内覧ツアーが開かれた。ツアーには延べ80人以上が参加し、終幕を惜しんだ。
首里劇場は1950年9月に開館した。沖縄芝居やバレエ公演、映画上映などに加え、51年に首里にキャンパスがあった琉球大学の開学記念行事に使われるなど、地域のコミュニティー施設としても親しまれた。
映画人気が落ち始めた70年代に成人映画にシフトしたが、昨年5月には金城館長のたっての願いだった名作を上映する「名画座」として再始動していた。
内覧ツアーでは、劇場で寝泊まりした芝居の一座が使ったかまどや、米軍払い下げ品で作ったと思われるカーキ色の布を使った幕などが紹介された。
参加した12歳の児童は「仮想空間『メタバース』であれば建物も残せると思う。芝居小屋としても使った建物を見られる貴重な体験だった」と話した。
(藤村謙吾)
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