米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄防衛局が県に対して大浦湾側の護岸工事に関する実施設計の協議文書を提出していたことが28日までに分かった。大浦湾側の工事に必要となる設計変更申請を県が承認していない中、政府が手続きの完了を前に工事を進める姿勢を改めて示した。これに対し県は、設計変更申請を承認していないことから、態度を保留する構えだ。
文書が県に提出されたのは21日。琉球新報の取材に対し防衛局は、協議文書は現行の埋め立て承認処分で付された留意事項に基づいて提出したと説明した。内容の詳細は「協議中であり、現時点でお答えできない」と述べるにとどめた。設計変更申請が承認されない中での協議文書提出について「大浦湾側の工事に向けた準備を進めておくことは必要である」と正当性を強調した。
現行の埋め立て承認の留意事項では、工事の実施設計については事前に県と協議を行うことが求められている。だが、県関係者は「変更承認申請に関する話は知事の判断が出ないと何も動かない」として、同協議書への対応を保留にしているとした。
防衛局は2015年にも、護岸全22カ所のうち、先にボーリング調査を終えた12カ所分について協議書を提出。県は「全体の実施設計を検討・確認しなければ安全性などを確認することはできない」として護岸全体をまとめて示すよう求めたが、防衛局は県が求めた協議書の申請取り下げに応じず、工事を強行した。 (與那原采恵、知念征尚)