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若年妊産婦 支援へ連携 県博でシンポ 「困難に寄り添って」


若年妊産婦 支援へ連携 県博でシンポ 「困難に寄り添って」 若年妊産婦に関する課題を共有し支援の在り方について考えるシンポジウム=11月30日、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館
この記事を書いた人 Avatar photo 小波津 智也

 若年妊産婦に関する課題を共有し支援の在り方について考えるシンポジウム(県主催)が11月30日、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館で開かれた。医療に携わる識者らが登壇した。現場での経験や調査を報告しながら若年妊産婦を支援できる多様な居場所をどのようにつくり提供していくかを探った。

 豊橋技術科学大ダイバーシティ推進センター特任助教の武輪敬心さんは、調査を通じた若年妊産婦の傾向として、幼少時の育児放棄や虐待などがあり、妊娠・出産後も就労などでさまざまな困難があることを指摘する。「幼少期も踏まえ、その人が今どういう状況にあるかを見ていく力が求められている」と述べ、関係機関が連携する必要性を訴えた。

 精神科医の白川美也子さんはトラウマ(心的外傷)へのケアを通じた支援について話した。米国の研究で子どもを虐待する養育者は自身も虐待歴があり、貧困などの環境も影響すると解説。若年妊産婦のトラウマに寄り添う支援で「再被害を止めることが可能だ」と強調した。

 県立中部病院の産婦人科医・三浦耕子さんは若年妊産婦が「妊娠」「出産」「育児」を短いサイクルで繰り返していると指摘。「医療機関では妊娠と出産しか見えない」と、育児を含めたニーズを把握しづらい現状があると説明した。課題解決のため、妊産婦の居場所となる支援機関によるニーズの掘り起こしなどを求めた。

 (小波津智也)