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アプリ「wakno」で中小企業のDX化を実現 沖縄高専発ベンチャーに沖縄公庫が600万円を融資 金城CEO「生み出した価値を見える化」


アプリ「wakno」で中小企業のDX化を実現 沖縄高専発ベンチャーに沖縄公庫が600万円を融資 金城CEO「生み出した価値を見える化」 「wakno」を開発したかまちょっかいの金城拓登CEO
この記事を書いた人 琉球新報社

 国立沖縄工業高等専門学校(名護市)に在学中の金城拓登さん(24)らが2021年に創業した「かまちょっかい」(那覇市)が、無料通信アプリ「LINE(ライン)」を使って生産現場の作業工程や売り上げを管理できるサービス、wakno(ワクノ)を開発した。中高年でも簡単に管理、共有できる使いやすさや、初期費用なしで月額1万1千円で利用できるお手頃価格が特徴。成長を見込み、沖縄振興開発金融公庫が創業者支援の貸付制度で600万円を融資した。


生産管理アプリケーション「wakno」(提供)

 中小企業や小規模事業者には、その日の作業や売り上げを手書きの日報で管理するなどデジタルトランスフォーメーション(DX)化が遅れている生産現場が多い。ワクノは、それらをLINEで管理できるようにし、ペーパーレス化やデジタル化を図るサービス。

 「ワクワクの」を略してサービス名にした。従業員同士で作業が「見える化」されるため、CEO(最高経営責任者)を務める金城さんは「自分がどれだけの価値を生み出しているのかが分かるようになり、現場の生産性も向上する」と説明する。

 那覇市出身の金城さんは幼少期から科学技術が好きで、ものづくりに関心を持ち沖縄高専に入学。起業の傍ら、生み出した価値を売り込むマーケティング力を身につけようと、22年には石川県の石川樹脂工業でインターンとして働いた。同社で元P&Gの石川勤専務からノウハウを学び、発送業務や勤怠、生産管理のシステム化を経験したことが、ワクノのアイデアにもつながった。

 中小規模の生産現場での活用を見込み、ワクノは中高年でも利用者が多いLINEを使うことで操作しやすくし、月額1万1千円で20人まで利用できる低価格に抑えた。かまちょっかいによると、他社の同様のサービスは500万円以上の導入費がかかる場合や、月額利用料が30万円以上かかる場合がある。

waknoを開発した「かまちょっかい」に融資した沖縄振興開発金融公庫融資第二部の安里秀樹課長(左)=14日、同公庫

 「かまって」と「おせっかい」を組み合わせたかまちょっかいは、生産現場に積極的に働きかけ、DX化を通じた中小企業支援を掲げる。ワクノのほかにも在庫管理と、自動検品のシステムのサービス化を予定しており、金城CEOは「3つのシステムを合わせて、25年末には延べ契約数を2千に持っていきたい」と見据えている。

 (當山幸都)