【東京】政府が、安全保障上重要とされる「重要施設」や国境離島の周辺の土地取引を規制する「土地利用規制法」の対象区域として、新たに沖縄本島の米軍・自衛隊施設などを含む100カ所以上を指定する方針であることが14日までに分かった。軍事関連施設では、嘉手納町、沖縄市、北谷町にまたがる嘉手納基地など指揮中枢機能・司令部機能のある米軍・自衛隊施設を「特別注視区域」とする見込みだ。複数の政府関係者への取材で判明した。
政府関係者によると、内閣府は12月中にも新たな対象区域を審議する「土地等利用状況審議会」を開催し、新たな指定区域案を示す方針。
沖縄本島では、嘉手納基地やキャンプ・ハンセン(金武町など)、普天間飛行場(宜野湾市)などの米軍基地、航空自衛隊那覇基地や陸上自衛隊那覇駐屯地(ともに那覇市)が、周辺約1キロで「注視区域」「特別注視区域」の対象となり、「機能阻害行為」があれば勧告や罰則を伴う命令の対象となる。
「特別注視区域」は指揮中枢機能・司令部機能がある施設で取引時に首相への届出が必要、「注視区域」は訓練施設。
対象には、領土から12カイリ(約22キロ)の領海設定の基準点となる「領海基線」も含まれる。一方、中国人女性が購入したなどとSNS上で公表して騒動となった伊是名村の無人島・屋那覇島は対象に含まれない見込み。
昨年9月に全面施行された同法に基づく区域指定は、これまでに3回実施され、県内外の399カ所が指定区域となっていた。4回目の今回の指定で区域数は計500カ所以上に上る見込みだ。
制度を所管する内閣府は、今後、全国約600カ所に指定区域を拡大するとし、2024年度中としていた区域指定の完了時期を23年度中に前倒しする考えも示している。
(安里洋輔)