米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄県が大浦湾の護岸工事に関する実施設計などについて、防衛局との事前協議を開始する方向で調整を進めていることが5日、複数の県関係者への取材で分かった。協議終了までは工事に着手しないよう求める。一方、防衛局は5日、本部港塩川地区から大浦湾の海上ヤード工事に使う基礎捨て石を搬送。12日の本格的な埋め立て着手に向けて、目に見える形で準備が進められている。
県が仲井間弘多知事時代の2013年12月に埋め立て申請を承認した際に付けた「留意事項」は、防衛局に対して工事の実施設計について県と事前に協議するよう定めている。
昨年9月に防衛局が実施設計書を提出した際に、県は設計変更申請がその時点では承認されていないことを理由に「協議には応じられない」と回答していた。昨年12月28日に国土交通相の代執行で設計変更申請が承認されたことから事前協議に応じ、終了までは着工しないよう求める。
本部港塩川地区で5日、従来の土砂に加え捨て石をダンプが台船に積み込んだ。捨て石は大浦湾側の埋め立てで最初に行われる海上ヤードの工事に用いられるとみられている。
基地建設に反対する行動を続ける市民によると、午前中に台船に向かったダンプ218台のうち、約140台が捨て石を運び込んだ。防衛局は、捨て石搬送の事実関係などの取材に対し「今後の工事に向けたさまざまな準備を行っており、指摘の作業もその一環」と説明した。
沖縄平和市民連絡会は同日、事前協議が終了するまでは工事に着手させないことなどを求める要請書を県に提出した。
(沖田有吾、増田健太、與那原采恵)