今回の調査では、紙で示した7段階から辺野古新基地建設の賛否の度合いを選んでもらった。指先は揺れ、賛否の理由を聞けばさらに複雑だった。投票所周辺では、他のメディアも賛否をタブレットに入力させる調査を行っていたが、県民は二者択一では割り切れない思いを抱えていた。
いつ普天間飛行場が返還されるのか、辺野古の工事にどれだけの税金と時間を費やすのか―。政権側の情報に近いはずの国政与党支持層にさえ、大事な判断材料が届いていない。経済的な利害関係も絡ませながら、党派的な溝が固定化する。これでは国の思うつぼだ。
事務職女性(58)は調査で、東京勤務時代の記憶を打ち明けた。「本土企業の上司に『沖縄に基地が集中するのは仕方がないことだ』と言われて泣いてしまった」
そして続けた。「本土の人たちからすると、代執行もすればいいと思っているんだろう。何とかこうした状況を変えたい。一部でなく、県民全体で」
衆院選で自民党1強の国会が崩れた。県内の政治家は、2013年の「平成の琉球処分」で超党派の結束を壊されてしまった「建白書」という県民総意に立ち返るべきではないか。