沖縄県にある米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局は9日午前9時20分ごろ、軟弱地盤がある大浦湾側海域での着工に向けた準備作業を始めた。大浦湾北側の海上ヤード予定地周辺で作業の様子が確認された。準備作業の一環とみられる。国は12日にも、大浦湾側での着工を予定し、石材投入などを計画している。
9日朝から名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前では、新基地建設に反対する市民らが「違法工事をやめろ」「機材を持ち込むな」などと抗議の声を上げている。
関係者によると、防衛局は、埋め立て予定地北側の海上に資材置き場(ヤード)を設置するため、汚濁拡散を防ぐ装置を設置する作業や工事区域であることを示す浮標(ブイ)を設置する作業を実施する。防衛省によると、海上ヤードは、護岸などを造成する際に使う大型の箱(ケーソン)を置くために設置する計画だ。
斉藤鉄夫国土交通相が2023年12月末、県の代わりに防衛局の設計変更を承認する代執行に踏み切ったことを受け、防衛局は1月5日以降、本部港塩川地区から大浦湾の海上ヤード工事に使う基礎捨て石を搬送するなど準備を本格化させている。
2013年に当時の仲井真弘多知事から当初の埋め立て承認を得た際の留意事項として、沖縄防衛局は工事の実施設計について事前に県と協議することが求められている。
沖縄県は今後協議に応じる方針だが、着工の条件は整っていないまま、防衛局は工事に向けた作業を加速させている。