米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局は9日にも大浦湾側の海域での準備作業に着手することが複数の関係者への取材で8日、分かった。
12日にも予定される着工では石材投入などが計画されている。斉藤鉄夫国土交通相が県に代わって防衛局の設計変更を承認する代執行に踏み切ったことを受け、工事に向けた作業を加速させている。
関係者によると、埋め立て予定地北側の海上に資材置き場(ヤード)を設置する工事に向け、9日はその周辺に工事区域であることを示す浮標(ブイ)や汚濁拡散を防ぐ装置を設置する作業を始める予定。
防衛省によると、海上ヤードは護岸などを造成する際に使う大型の箱のような構造物(ケーソン)を置くために設置する。
防衛局は5日、本部港塩川地区から大浦湾の海上ヤード工事に使う基礎捨て石を搬送するなど準備を本格化させている。一方、当初の埋め立て承認時の約束で、工事の実施設計について事前に県と協議することが求められている。
県は今後、協議に応じる方針だが、着工の条件は整っていないことになる。
防衛局は辺野古側の埋め立てに関して、協議を一方的に打ち切って工事を強行。地盤改良の必要性がない浅瀬の辺野古側で埋め立て工事を続けてきた。
大浦湾では砂などで造ったくい約7万1千本を打ち込む予定。事業は長期化しており、政府は大浦湾側で設計変更に基づく工事を始めてから米軍が使用できる状態になるまでに12年以上かかると説明している。
(明真南斗、沖田有吾)